2007年03月29日

バイアコムの対YouTube秘密兵器M・サルミ氏、映像戦略を語る

もしViacomがGoogleのYouTubeと今後も激しい戦いを繰り広げることになれば、Mika Salmi氏がViacomの秘密兵器になるかもしれない。

 Salmi氏には多才な面があり、ロックバンドNine Inch Nailsの発掘に一役買った流行に敏感なビジネスマンであると同時に、ViacomのMTV NetworksでGlobal Digital Mediaプレジデントを務める有能な技術者でもある。同氏はさらに、2006年にMTVに2億ドルで買収されたインターネットビデオおよびゲームのパイオニアであるAtom Entertainmentも創業している。

 Salmi氏は、MTV Music Television、Nickelodeon、Comedy Centralなどを擁するMTV Networksで、Steven Colbert、SpongeBob SquarePants、そしてSouth ParkのCartmanなどタレントやキャラクターのウェブ展開を開始する判断を下している。Viacomは現在、数十万件もの著作権侵害があるとし、10億ドルの賠償を求めてYouTubeを提訴している。YouTubeを回避しながらViacomがインターネットを活用していくための技術戦略を計画しているSalmi氏は、訴訟の舞台裏で重要な役割を果たす可能性がある。

 マンハッタンにあるViacomのオフィスでCNET News.comのインタビューに答えたSalmi氏は、YouTubeとの交渉にはほとんどかかわっておらず、ライセンス契約がうまくいくことを願っているとした。同氏によると、もしうまくいかなくても、MTV NetworksとViacomにとっては全く問題がないはずだという。

 Salmi氏によると、YouTubeやMySpace.comなどの大規模「ポータルサイト」は、特定の分野でユーザーにアピールするニッチサイトに取って代わられるはずだという。Salmi氏によると、MTV Networksは、このような状況での戦い方を熟知しているという。同社は音楽やエンターテイメントのニッチを何十年も前から正確に狙ってきた実績があり、MTV Networksは150カ所以上のウェブサイトと136以上のテレビチャンネルを世界中で展開しているという。

 Salmi氏は、「わたしは入社時に、すべてのテレビ番組やブランドをもっと深く掘り下げ、そのコミュニティーや独自世界を作り出すべきだ、と主張した。(The Colbert Reportを)視聴者が気に入れば、Colbertのサイトをすぐにチェックしてみたいと思うだろう。彼らは、Comedy Centralなどを経由しなくてはならない状況を必ずしも望んでいない。数十あるブランドを数百に増やすべきというのが考え方だ」と語っている。

 41歳のSalmi氏は、レコードレーベルのEMI Groupに在籍した後、1995年にAtomを設立した。Atomが運営するサイトには、ゲームサイトのShockwaveやAddictingGames.com、そして映像サイトのAddictingclips.comや、短編映画に特化したAtomFilmsなどがあった。

 Jupiter ResearchのアナリストTodd Chanko氏は、「彼はネットに短編映像を流すという新分野の発展に大きく貢献した」と述べている。画質やダウンロード速度の低さから他社のほとんどがあきらめた後も、Salmi氏は映像を捨てなかったと、映像共有サイトGrouperの最高経営責任者(CEO)、Josh Felser氏は語っている。

 Grouperを2006年にソニーに売却したFelser氏は、「Mikaはオンライン映像分野で非常に尊敬されている。自分が思い描くビジョンを捨てなかったからだ。彼はドットコムバブル崩壊時の問題をすべて乗り切り、最終的には膨大な額で会社を売却することができた」と語った。

 Salmi氏によると、ViacomがAtomを買収すると、MTV Networkのトップらが経営者の目から見た意見を自分に求めてきたという。Salmi氏はそのとき率直に自身の考えを述べた。

 Salmi氏はニュージャージーやハドソン川が見渡せる28階建てのオフィスから外を見つめ、「わたしはその時『こうすればよい』と即答した。あまりに早く答えが返ってきたので彼らは驚いたと思う」と回想した。

 もちろん、Viacomが衝撃を受けたのは、ウェブを理解するには同社がメディアとしてあまりに古いというポイントだ。「彼らが若者の間で確立したブランド力や、彼らが集めた若いユーザーをビジネスにつなげる方法はいくらでもあった。社員は全員がインスタントメッセージングを利用している。これを自社開発する技術はなかったが、サードパーティーシステムに自社ブランドを付けるようなことは考えなかったのだろうか?」とChanko氏は語っている。

 このような認識を払拭すべく、Salmi氏は同巨大メディアにおいて複数の技術プロジェクトを主導した。同氏は、人気番組のファンが自分のMySpaceページやブログに映像を投稿できる組み込みコードを提供するアイデアも支援した。このコンセプトは、ほかのサイトに映像を組み込むYouTubeのツールと似ている。

 Salmi氏はまた、テレビやウェブのプラットフォームを超えてコンテンツを融合させる試みにも取り組んでいる。ウェブの番組は、Comedycentral.comやAtomFilmsの番組の映像を含んだ新しいシリーズとなっている。

 Salmi氏が何としても取り組みたい作業の1つが、Viacom傘下のさまざまな企業が開発した技術の活用方法を模索することだ。英国などでは、MTV Networksが24時間放映のユーザー投稿型テレビ番組Fluxを持っている。これは、ユーザーがウェブサイトを訪れて映像を投稿するとコンテンツがテレビで放映される仕組みだ。日本では、携帯電話のコンテンツをテレビに投稿できるサービスをMTV Networksが提供している。

 Salmi氏によると、Viacomのウェブの売上額がテレビのそれを超えるようなことは当面はないという。同氏は、「個人的には、テレビを支援することが自分の大きな役割だと思っている。テレビ関係者が壁越しにデジタル関係者にコンテンツを投げ、その一部をデジタル関係者がまた投げ返すような状況にすべきではない。テレビ番組やオンラインゲームに関してクリエイティブなビジョンを描く人物が、すべてのプラットフォームのビジョンを主導すべきだ」と語っている。

 YouTubeとの問題がどのような結末を迎えると思うか尋ねたが、Salmi氏はその質問には答えてくれなかった。しかし同氏は、YouTube創業者のSteve Chen氏とChad Hurley氏とは友好的な関係にあり、今でも問題解決を望んでいると語った。

 Salmi氏は、「Viacomが『(YouTubeで)われわれのビデオを見て欲しくない』という戦略を掲げたことはなかった。われわれは配給会社になりたいと考えている。iTunesやComcastとは配信契約を結んでおり、先ごろ(オンライン映像会社の)Joostとも契約に至った。われわれは、これを独力でやろうとは考えていない。しかし、もしだれかがわれわれのコンテンツで利益を上げていたら、『われわれのコンテンツを配信したいなら契約して欲しい』と伝える。仕事上の関係なら業務契約を結ぶべきだ」と語った。

 同氏は、「YouTubeとは単に同意に至らなかっただけだ。しかし、契約を結びたい考えがあることは確かだ」と加えた。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。



http://news.livedoor.com/article/detail/3081367/
タグ:YouTube
posted by nwesty at 00:32 | 経済
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