2007年03月29日

バイアコム、YouTubeとグーグルを提訴--著作権侵害行為で10億ドル要求

Viacomは米国時間3月13日、損害賠償を求めてYouTubeと親会社のGoogleを提訴した。人気の高い映像共有サイトのYouTubeが「大規模かつ意図的な著作権侵害」を行っていると主張し、10億ドル以上の損害賠償の支払いを求めている。

 ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提起された訴えによると、Viacomの娯楽番組から取得したおよそ16万件の不正な映像がYouTubeで配信されており、これらの映像が15億回以上も視聴されているという。

 Paramount Pictures、DreamWorks、そして多数のケーブルチャンネルを保有するエンターテイメント業界最大手のViacomによると、同社は著作権侵害行為の中止命令も同裁判所に求めているという。

 Viacomは訴状のなかで、「YouTubeは、対価を支払うことも、ライセンスを受けることもなく、価値を有する創作物を自社の利益のために大量に盗用している。知的財産法を厚かましく無視するYouTubeの行為は、原告だけでなく、米国経済有数の市場の経済基盤にとっても根本的な脅威である」と述べている。

 この訴訟は、YouTubeとの深刻な対立拡大を表しており、このトップ映像共有サイトを巡る最大の知的財産訴訟となっている。しかし、これを受けてほかのエンターテイメント関連企業が訴訟を起こしてくるかどうかについては業界観測筋の間に疑問の声もある。

 Googleは、今回の異議申し立てを一蹴し、コンテンツ制作者にとってのYouTubeのメリットを主張した。

 Googleは声明のなかで、「訴状をまだ見ていないが、YouTubeは著作権所有者の法的権利を尊重しており、そのことに裁判所も同意するものと確信している。YouTubeはユーザーにとって素晴らしいサービスであり、ユーザーとの対話、増え続ける若いユーザー層へのコンテンツの宣伝、オンライン広告市場の利用といった大きなチャンスを著作権所有者に提供する。この訴訟が、YouTubeの今後の成長や業績の向上、ユーザーやトラフィックの拡大、より強力なコミュニティーの構築を妨害するようなことは絶対させない」と述べた。

 2006年10月に16億5000万ドルでYouTubeを買収したGoogleは、同映像サイトがいつかは長期的な法廷闘争に巻き込まれる可能性があることを認識していた。また、同社が法定費用に充てる資金を蓄えているとの報道もある。

 一方でGoogleは、Warner Music Group、CBS、そして最近のBBCなど、多くのエンターテイメント企業とは順調にライセンス契約を結んでいる。

 権利擁護団体のなかには、評論、ニュース報道、調査といった非商用目的での作品の複製を許可する著作権法の「公正使用」の法原則は、短いクリップや主力メディアの作品を投稿するYouTubeのユーザーにも適用されるべき、との意見もある。

 権利擁護団体Public Knowledge会長のGigi Sohn氏は声明のなかで、「『未承認』(だと素材を定義すること)がそのまま不法使用にはつながらない」と述べた。

 Holland & Knightのパートナーで、知的財産法を専門にするEdward Naughton氏は、「ここから一連の訴訟が続いていくとは思わない。ViacomとGoogleは交渉がスムーズに行かず訴訟になっただけだと思う。Viacomは熱くなりすぎているだけだ」と述べている。

 正当な著作権に対する懸念も関連してくるが、Viacomの行動は、(コンテンツ配信に関する)大半を管理下に置くことができていた頃の「古いものを守りたい大企業の姿勢に行き着くのだと思う。彼らはそれをYouTubeやGoogleなどの企業に譲りたくないのだ」と、カリフォルニア州サンフランシスコのMorgan Miller Blair所属で、知的財産法を専門にする弁護士のJeffrey Lindgren氏は語る。

 同氏は、「(他社の訴訟も)今後はいくつか続くと予想する。だが、これが本当にGoogleとYouTubeを窮地に追い込む猛攻になるかは分からない」とも加えている。

 YouTubeと未提携の巨大エンターテイメント複合企業はViacomだけではない。NBCの最高経営責任者(CEO)であるJeff Zucker氏など、複数の企業幹部がYouTubeの手法を強く批判している。

 NBC Universalの関係者は、Viacomと同様の訴訟をYouTubeに対して起こす計画があるかどうかを13日に聞かれたものの、それに対するコメントは控えた。一方、Twentieth Century Fox Filmの広報担当Chris Alexander氏によると、Viacomが起こした訴訟は、これまでTwentieth Centuryが同映像共有サイトに対して起こしてきた訴訟の範囲を大きく超えているという。

 News Corp.傘下の同社は2007年に入り、人気の高い「24」の未放送分のエピソードを投稿した容疑で、2人のユーザーの身元確認を求め、YouTubeに召喚状を送付している。これは、「まだ収益を確保していないシリーズ全体の保護目的から」だと同氏は語っている。

 Alexander氏は、「われわれは自分たちの著作権を保護することを極めて重視しており、ケースバイケースでこれらを見ている」と語っているが、映像共有サイトに投稿される全エピソードではなく、その一部のみのクリップに関しては、全社レベルのポリシーが存在するかは不明だ、とも加えている。

 Viacomは2月、10万件の不正クリップを削除するようYouTubeに要求して混乱を引き起こした。一部の観測筋は、これをViacomの交渉術だとして一笑に付し、両社がいずれは提携するとの予測を示した。

 それにもかかわらず、Viacomは訴状のなかで、YouTubeはユーザーが同サイトに海賊版を投稿するのを防ぐ行動を怠った、としている。カリフォルニア州サンブルーノに本社を置くYouTubeは、著作権所有者からの要請があるまで不正な素材を含む映像を削除しないと、Viacomは語っている。

 エンターテイメント業界の多くの幹部は、これを不公平だとしている。著作権法に準拠しているとするYouTubeのポリシーにより、多くの大手映画会社が他社サイトの監視に時間とコストをかけざる得なくなっている。YouTubeに対してクリップの削除を求めても、同じクリップの新しいバージョンが投稿されてしまうケースが大半を占める。

 Viacomはその訴状のなかで、「YouTubeは、同サイトで蔓延する侵害行為を抑止するための妥当な予防策を故意に取らないことにしている。人気の高い著作権侵害作品を自社サイトで公開することで直接利益を得ているため、YouTubeは、サイトを毎日もしくは1時間おきに監視して著作権侵害映像を見つけ出すという負担をすべて著作権所有者に負わせることにした」と述べている。

 Viacomの内部事情を知る関係者によると、既に削除を求めた映像が繰り返し見つかるようなことがなければ同社が訴訟を起こすことはなかったという。

 この情報筋は、「自社の資源がますます多く流れるようになった。社内では基本的に全く新しい部署に予算を割り当ててYouTubeを監視させている」と語っている。

 Googleの弁護士によると、同社は賠償責任を免れるべく、1998年に制定されたデジタルミレニアム著作権法(DMCA)を拠り所にしているという。この法律には、著作権で保護されたコンテンツを発見後すみやかに削除すれば企業は責任を免れる、という旨の条項がある。

 インターネットサービスが自らの身を守る唯一の手段は、いわゆる「セーフハーバー」条項に頼り、4つの要件を満たすことだ。これらの要件には、サービスが「著作権侵害行為が行われていることが明らかである事実や状況に気付いていない」こと、サービスが「侵害行為に起因する金銭的利益を得ていない」ことが含まれる。

 Viacomは訴状で、GoogleとYouTubeがこの要件を満たしていないと主張している。しかし、YouTubeのインハウスプロダクトカウンセルを務めるGlenn Brown氏は、同社の活動には法的な根拠があると自信を隠さない。同氏は13日、電話インタビューに応じ、「われわれは要件を満たすだけでなく、コンテンツプロバイダーが著作権の侵害を容易に判別できるように支援するなど、これを上回る行動をとっている」と述べた。

 YouTubeは2006年末にも、著作権で保護されたコンテンツを自動的に除去するための技術をリリースするものと見られていた。NBCのZucker氏をはじめとする映画業界の人々は、YouTubeの対応の遅さに不満を述べていた。ViacomはYouTubeについて、契約書にでもサインしない限り、著作物の保護をしてくれないと述べる。

 Viacomの訴状には「YouTubeは故意に、著作権保護を目的としたアプリケーションの提供を保留し、著作権者から強制的に(YouTubeに)有利なライセンス条件を引き出そうとした」と書かれている。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。



http://news.livedoor.com/article/detail/3073157/
posted by nwesty at 00:30 | 経済
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。